今回のココロエ
「柔らかな肌触りのもの」と「少し贅沢なもの」を取り入れましょう
生理前は特に、黄体ホルモンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が低下し血行が悪くなり、肌のトラブルも多くなったり、PMS(月経前症候群)の症状が表れることがあります。足が冷え夜ぐっすり眠れないことも多く、さらに朝、お化粧ののりが悪いと「ああ、もう今日は休みたい……」と思ってしまいますよね。また、生理中には生理痛だけでなく頭痛なども起こりやすくなりますし、イライラしたり、ゆううつになったりと気分も不安定になりがちです。いつもより香りや清潔さにも神経質になるので、誰かと一緒にでかけても、ちょっとしたことで不機嫌になりやすく、そもそも人と会うのが面倒に感じるものです。
このようなときは、仕事はなんとかこなすとしてもできるだけ早めに帰宅して、一人の時間を満喫することをおすすめします。やりがいのある仕事で周りの人に恵まれていたとしても、誰かと一緒に居る間は、“相手に合わせる脳”が絶えず働いているため、すっかりリラックスしてありのままで過ごすというのは難しいのです。毎日がんばっているのですから、こういうときくらい、ひとりでゆっくり過ごしましょう。とはいえ、生理前や生理中は、孤独感も感じやすい複雑な心理状態でもありますので、ただゆっくりするだけではなく、“自分を大切にしている実感”をもてることも重要です。そのためには、「柔らかな肌触りのもの」と「少し贅沢なもの」を取り入れてみてください。
柔らかな肌触りのものは、心を安定させる
心理学者のハリー・ハーロウの調査では、生理学的に人間にとても似ているとされるアカゲザルの赤ちゃんを母親から離して飼育する際、柔らかいものに触れさせないと、体調を崩してしまうことがわかりました。柔らかな布製のパッドを与えると、すぐに体調が戻ったそうです。赤ちゃんにとって、母親の肌など、柔らかいものに触れることは、栄養をとることと同じくらい、またはそれ以上に、基本的な強い欲求だと考えられています。人間の触覚に関する実験でも、柔らかい物に触れると、安心し、優しい気持ちになることがわかっています。
部屋でリラックスする際は、クッションやひざ掛けなど、ふんわりと柔らかく肌触りの良いもの使用し、触れるようにしてみてください。孤独感を感じやすい人は緩和されますし、イライラしやすい人は心が落ち着きます。
少し贅沢なものは、期待感を高める
高価な美容液と安価な美容液を比べると、使い始めるときのわくわく感がちょっと違いますよね。比較的高価な美容液のほうが、使い始めのテンションが高まり、使っている満足感も強くなる傾向があります。このような、商品の価格が高くなるほど、その効果や効用、価値に対する期待感も高まるという心理効果をヴェブレン効果と呼んでいます。
早く帰宅し、ゆっくり一人で過ごせる夜は、すぐにすっきりとメイクを落とし、いつもよりちょっと贅沢な保湿パックを使ったり、リッチなデザートを食べたりしてみてください。上質で着心地のよい、お気に入りの部屋着があれば、より効果的です。人に見られない部分のリッチさは、自分を大切にしている実感を高め、一人で過ごす時間が、より満足度の高いものになります。
心理学者のテリー・オーブッチは、25年間で373組の夫婦を調査し、一人の時間を十分にとれていることは、幸せな結婚生活のために重要だという結果を発表しました。最愛の人と一緒に暮らしていたとしても、一人で過ごす時間でしか得られない、心の充電効果があります。明日笑顔で仕事に向かうためにも、今日は無理せず自分だけの至福のひとときを満喫しましょう。
ココロに効く豆知識”目隠しジャンケン”
イギリスの心理学者の調査では、二人とも目隠しをしてジャンケンをするよりも、片方は目を開けてジャンケンするほうが、引き分けが多くなることがわかりました。私たちは意識していなくても、“相手に合わせる脳“が働き、相手と同じ行動をとりがちです。行動を合わせてくれた相手には、好意を持ちやすくなる傾向があり、カメレオン効果と呼ばれています。
その他のココロエ
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医