今回のココロエ
歩数を数えながら、“呼吸”と“歩いていること”に集中!
帰宅を笑顔で迎えてくれたお母さんに、つい不機嫌な態度をとってしまう……このような経験も、生理がはじまる年頃から多くなります。学校や職場からの帰り道で一人になると、一日の出来事が思い出され、「ああすればよかったかな」「こう言えばよかったかな」と、ネガティブな思いがふくらんでいくことがありますよね。
そこで今回は、最寄り駅から家までの間で簡単にできる「歩行瞑想法」をおすすめします。新しい認知行動療法として注目されているマインドフルネス(下記参照)の応用で、歩数を数えながら、「3歩で息を深く吸い、3歩で深く吐く」を繰り返し、ただ“歩いていること”に集中しながら歩いていくのです。数を沢山数えると疲れる人は、「1、2、3、」「1、2、3、」と、3つまでを繰り返してもOKです。
数を数えることで左脳活性
一概には言えないのですが、ポジティブ感情は左脳前頭前野で、ネガティブ感情は右脳前頭前野で生まれると考えられています。アメリカ・ウィスコンシン大学の心理学者、リチャード・ディビットソンは、実験の結果、前頭前野の左側が活発に動いている人は陽気で楽天的、右側の方が活発に働いている人はブルーな気分になりやすく、トラブルの際に動揺しやすいと発表しました。左の脳を活性化するには、計算をしたり、数を数えると良いとされています。
数息観と歩く瞑想で雑念を手放す
西洋には「眠れないときには羊の数を数えるといい」という伝承がありますよね。インドには、自分の息を数えながら坐禅を組む「数息観」という修行方法があります。どちらも、単純なことを考えて呼吸することで気持ちが落ち着き、雑念を手放す効果があります。歩きながら行うことで、もしも何かの考えに囚われても、今歩いている場所にそれを置いて歩いて行くイメージができ、より雑念を手放しやすくなります。
「命の次に大切なものは?」というアンケート結果をみてみると、一番多かった回答は、学生・社会人ともに「家族」でした。簡単に感情をむき出しにしてしまうのも、切っても切れない絆による安心感があればこそ。当たれる家族がいるというのは、実はとても幸せなことでもあります。歩行瞑想法で雑念を上手に手放すことさえできれば、穏やかに笑い合える時間が増えていくと思います。
ココロに効く豆知識”マインドフルネス”
マインドフルネスとは、お釈迦様が使っていた言葉、パーリ語で、「気づき」といった意味の英語です。お釈迦様が説いた、心を良い状態に保つためにこうしなさい、という教えが、2600年もの時を超え、ハーバード大学などで脳科学的に優れているということが実証され、新世代の療法として見直されています。
その他のココロエ
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医