今回のココロエ
当たり前に持っている幸せを100個書き出しましょう!それを再確認することで、ゆるぎない幸せを実感し、心が穏やかになります。
彼とうまくいっていない時、楽しそうなカップルが目に入ったり、仕事で行き詰まっている時、イキイキと働く同僚を見たり、生理前や生理中で顔色もパッとしない時、いつも元気で美人の友だちに会ったり・・・。思い通りにいかないときほど、周りの人がずいぶんと幸せそうに見えてよけいに落ちこんでしまう、ということはよくありますよね。生理前や生理中は特に焦りや無気力を招いてしまったり、たったひとつの小さなミスやコンプレックスから、人生全体が不幸に感じることすらあります。
このような状態は「隣の芝生は青い症候群」と呼ばれ、小さな劣等感と同時に、誰かと繋がっていたいという親和欲求や、人から認められたいという承認欲求も高まっています。
SNSに可愛い写真が撮れたら投稿して、「いいね!」をもらっているうちに、いつの間にか「いいね!」をもらうために写真を撮ろうとしてがんばりすぎてしまう、という状態も同様です。自分自身のことよりも、「他者と比べてどうか」「他者からどう思われるか」にばかり、意識が向いてしまっています。
「思い当る」「ちょっと思い当る」という人だけでなく、「今は大丈夫」という人も試しに100個の幸せを書き出してみてください。100個は大変だと思いますが、例えば「美味しくご飯が食べられること」、「毎日健康で過ごしていること」、「楽しく話せる友人がいること」など、当たり前だと思う事でも良いので、思いついた幸せをなるべく多く書き出すことがポイントです。
親和欲求や承認欲求が起こるのは、実は恵まれているから
マズローの「欲求の5段階説」によると、親和欲求や承認欲求は、睡眠や食事などの生理的な欲求や、安全に暮らす欲求が十分に満たされているときに現れるとされています。生きていくために必要な基本的な欲求が満たされている幸せな状態だからこそ、心に浮かびやすい“隣の芝生”なのです。美味しいご飯、暖かな部屋、歩けること、話せること・・・、普通にある幸せは失うと愕然としますが、あまりにも当たり前で空気のように見過ごされています。一度でも書き出し時々眺めてみると、ゆるぎない幸せを実感し、心が穏やかになります。
「こうでさえあれば」という幻想から脱出すればハッピーに
「ある条件が満たされれば幸せになれる」、「そうでなければなれない」といった幻想をフォーカシング・イリュージョンと言います。ダニエル・カーネマンが提唱しました。「カリフォルニアの住人」と聞くと、あたたかな気候で幸せに暮らす人をイメージしますが、実際にアメリカで幸福度が高かったのは、寒い地域の人たちでした。幸福感とは何かたったひとつのことで決まるものではなく、様々な要素が合わさってつくられるもので、1人1人別々の、とても個人的なもの。ですから、人とどこかを比べて感じるのではなく、自分が既に持っている幸せを数多く確認するという方法で、実感するのが効果的です。
わかっていてもつい人と比べて「はぁ」とため息が出てしまいがちですが、100個の幸せのリストをいつも心に置いて、上手にやり過ごしていきましょう。
ココロに効く豆知識“ちょっとした嫉妬心や苦手意識のある人と会うときは?”
あたたかな飲み物を手に持って人に会うと、相手に対してあたたかな気持ちになり、好意的になることが心理学の実験からわかりました。このような現象を身体化認知と読んでいます。ちょっとした嫉妬心や苦手意識のある人と会うときは、あたたかな飲み物を手に持ちながら話してみてください。身体で感じるあたたかさが心もあたため、目の前にいる人に優しい気持ちになれますよ。
その他のココロエ
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医