生理と排卵日の関係
排卵日とは、女性の体内で卵子が排出される日のことをいいますが、具体的にどのようにして排卵がおこるのか、そのメカニズムを解説します。
女性は生まれながらに卵子のもととなる原子卵胞をもっています。生理が始まると、脳下垂体から卵胞刺激ホルモンが分泌され、卵胞が育ち始めます。卵胞が成熟すると、卵胞ホルモンが増え分泌量がピークに達するころに、脳下垂体から黄体化ホルモンが分泌され、排卵を促します。すると、成熟した卵子が卵胞の壁を破って腹腔内に飛び出します。これを排卵とよび、その日を排卵日といいます。
排卵して空になった卵胞は黄体という組織へと変化し、妊娠に必要な準備をするために黄体ホルモンを分泌します。妊娠が成立し受精卵が無事に着床すると、黄体は妊娠黄体になり、妊娠を維持するために黄体ホルモンを分泌し続けます。妊娠しなかったときには、黄体の機能は衰え、黄体ホルモンの分泌も低下します。ぶあつく成長した子宮内膜は剥がれ、血液と一緒に体外へ排出され生理が始まります。
生理周期が規則的な場合の排卵日の計算方法
生理周期には個人差がありますが、25~38日が一般的です。生理が毎月一定期間におとずれる女性は、次の生理の予定日の14日前が、おおよその排卵日にあたります。
一般的に、排卵から生理が始まるまでの期間は、どの女性も約14日といわれています。ただし、生理周期が安定している人でも、風邪やストレスなどのちょっとした体調の変化で生理が2~3日ずれることはよくありますので、100%信用できる方法ではありません。
また、生理不順の女性は、次の生理予定日を予測すること自体が難しいので、この方法は適用できません。生理が定期的にきている女性が、だいたいの排卵日を知りたいときに使える計算式です。
生理周期が不規則な場合の排卵日の予測方法
生理不順の人は、基礎体温の変化から排卵日を予測しましょう。女性のカラダは、ホルモン分泌の変動によって基礎体温が変化します。生理が始まるころから排卵直前までは低温期で、排卵後には基礎体温が上昇し高温期に入り、生理が始まるとまた低温期に戻るというサイクルを繰り返しています。このことから、低温期から高温期に移行したタイミングが排卵日であると予測できます。妊娠した場合は、そのまま高温期が続きます。
毎朝、基礎体温を測ることを習慣化するのとあわせて、グラフで管理すると低温期・高温期がひと目で確認しやすくなるため、測った体温はグラフにしましょう。スマホのアプリで管理する、基礎体温表に手書きでチェックするなど、続けやすい方法を選んでください。基礎体温を測ることは、ホルモンの異常や婦人科系疾患の早期発見にも役立ちますので、生理が規則的にくる人も習慣化することをおすすめします。
さらに、薬局やドラッグストアで購入できる排卵検査薬を使用する方法もあります。黄体化ホルモンの分泌がピークに達してから、16~24時間以内に排卵がおこるというメカニズムをふまえ、尿に含まれる黄体化ホルモンの含有量をチェックして排卵日を予測する方法です。
妊活中であれば、妊娠しやすいタイミングがわかるメリットがありますが、検査薬代がかかるというデメリットもありますので、必要に応じて利用しましょう。
排卵はカラダの変化でわかるもの?
女性の体内では大きな変化がおきる排卵ですが、ほとんどの女性は排卵に気がつくことはありません。しかし、なかには中間期出血や排卵痛がある女性もいます。排卵時には卵子が卵胞の壁を破って飛び出すので、その影響で出血したり、痛みがあったりしても不思議な話ではありません。
出血や痛みのほかにも、排卵日には基礎体温が上昇することから、カラダのほてり、眠気、だるさ、吐き気、胸の張りを感じる人もいます。ただし、個人差があるためカラダの変化だけで排卵日を予測することは、とても難しいといえるでしょう。
もっとも妊娠しやすいのは排卵日?
妊活中のカップルにとって、どのタイミングでセックスすれば妊娠しやすいかも気になるポイントです。理想としては、排卵のタイミングで精子が卵子を待ち構えている状態にあること。精子の寿命は2日~1週間と長いのに対して、卵子の寿命は排卵してから24時間しかありません。したがって、排卵日の2~3日前にセックスをして、受精しやすい状態をつくるのが、もっとも妊娠の確率が高まる方法といえます。
これはあくまでも確率のお話ですので、排卵後にセックスしても妊娠する可能性はあります。子供を望んでいるカップルであれば、生理が終わってから排卵日までに2日おきにセックスを試みると良いでしょう。
排卵日を把握して自分のカラダのリズムを知ろう
自分自身の生理周期を知って、おおよその排卵日を予測することは、妊娠の準備に有利なだけでなく、健康管理にも役立ちます。妊娠を望んでいる人はもちろん、妊娠を避けたい女性や、女性ホルモンの分泌が乱れやすい女性も、排卵日を予測して自分のカラダのリズムをきちんと把握するようにしましょう。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医