基礎体温とは、安静時の体温のこと
●目覚めてすぐの体温を基準に比較します
基礎体温とは、人が最低限のエネルギーしか使っていない状態の体温、つまり、安静時の体温のことです。ふつうは、朝目覚めてすぐの安静状態のまま測る体温を基礎体温と呼んでいます。
●女性のカラダには、ホルモン周期で微妙な体温変化があります
排卵があり、生理がおこる女性のカラダには、女性ホルモンの影響で体温の微妙な変化が周期的におこります。ですから、毎日基礎体温を測れば、カラダの変化やホルモン分泌の状態を知ることができるのです。
ホルモン周期で、基礎体温とおりものが変化します
●増殖期(卵胞期)
生理が始まるころから排卵までは、体温は低くなります。
この時期は、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンの刺激を受けて、卵巣にある原始細胞の1つが発育を始めます。卵胞が発育して卵胞ホルモンが分泌されると、子宮内膜は少しずつ厚くなっていきます。
●排卵
排卵後、体温は高くなります。この変化があれば、排卵があるというしるし。また妊娠するとずっと高温が続きますので、妊娠したかどうかの目安にもなります。
この時期は卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌がピークに達し、成熟した卵胞を刺激すると中から卵子が飛び出してきます。これが排卵です。人によってはこのとき、下腹部に痛みを感じることもあります。
排卵前にはおりものの量が最も増えます。卵の白身に似た糸をひくようなおりものが2~3日続きますが、においは強くありません。
●分泌期(黄体期)
体温は高いままですが、妊娠が成立しないと体温が下がって、生理を迎えます。ですから体温の変化で、生理がくるタイミングを知ることができます。
この時期、卵子が飛び出したあとの卵胞は黄体という組織に変化し、黄体ホルモンを分泌します。その作用で子宮内膜はさらに厚くやわらかくなり、受精卵が着床できる準備がととのいます。
おりものはだんだん量が減ってきて、白くにごったのり状に変わります。生理直前にはにおいが強くなり、下着につくと黄色くなるようなおりものが出ます。
●月経期
体温は低くなります。分泌期に排卵した卵子と精子が結合して受精卵となり、子宮内膜に着床すれば妊娠成立ですが、妊娠しなかった場合は、黄体はしぼんで白体となり、卵胞ホルモン、黄体ホルモンとも分泌が減ります。不要になった子宮内膜ははがれ落ち、血液と一緒に体外へ排出されます。これが生理です。
基礎体温は、こうして測ります
●婦人体温計を使いましょう
低温期、高温期といっても、差はせいぜい0.3~0.5度ほどなので、普通の体温計では測ることはできません。ですから基礎体温を測るときは、必ず婦人体温計を使いましょう。婦人体温計は薬局で市販されています。使うのは、水銀計とデジタル計のどちらのタイプでもかまいません。
●目覚めてすぐ、横になったまま測ります
朝目が覚めたときに起き上がって動くと、体温が上がってしまいます。必ず布団に横になったまま、口の中に体温計を入れ測ります。体温計を舌の裏の付け根に、はさむようにして測ってください。
●必ずグラフにしましょう
基礎体温をグラフにあらわしたものが「基礎体温表」です。大切なのは、低温期と高温期を繰り返すパターンを確認することですから、測った体温は必ずグラフに記入しましょう。基礎体温表は、薬局で求めることができます。また、ここからダウンロードすることも可能です。
●測る条件が違うときはグラフにメモを
基礎体温は、毎日同じ時刻に、同じ条件で測るのが基本です。とはいっても、毎日続けていれば例外も出てきますし、あまり厳しすぎると続かないもの。目覚めてすぐトイレへ行ったり寝坊したりと、条件が違う場合は、グラフにメモしておくようにしましょう。
また、生理、おりもの、不正出血、腹痛、セックスした、風邪をひいた、お酒を飲んだ、睡眠不足など、気づいたこともメモしておけば、グラフを見直すときに役立ちます。測り忘れたときは、グラフの線をつなげずに、その日は空欄にしておいてください。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医