微妙過ぎて見逃す?カラダの変化で感じる妊娠の兆候
妊娠超初期症状とは、生理一週間前頃に妊娠の兆候としてあらわれる症状や違和感のことです。生理一週間前は、妊娠周期の数え方では平均で3週0日にあたります。これはちょうど、受精卵が子宮内で着床する時期です。着床はすぐに完了するのではなく、3週0日から4週0日の間に、5~7日かけて完了します。この時期はまだ妊娠検査薬が反応しにくいため、妊娠の確認ができません。しかし、カラダの中では受精卵の着床が進んでいるため、倦怠感や眠気などの妊娠超初期症状を感じることがあります。
風邪や生理前の症状と似ている妊娠超初期症状とは
妊娠超初期症状は、風邪や生理前の症状と似ています。代表的な症状としては、生理予定日の一週間前頃に、突然訪れる眠気や、歩くのが辛いほどの倦怠感です。
また、風邪をひいたときのような頭痛や寒気を感じることもあります。これは、妊娠状態を維持するために分泌される黄体ホルモンの影響によるものです。下腹部痛や胸の張り、乳首痛などの生理前のような症状のほか、着床時におこる少量の出血や、おりものの色や量が変化も兆候のひとつです。おりものの変化は、普段より量が増えたり、茶色や茶褐色になったりするなど、その症状には個人差があるのが特徴です。いつもの生理前と同じような症状があらわれるため、妊娠と気づかない人も多いようです。
人によっては、吐き気や匂いに過敏になるなど、つわりのような症状があらわれます。これは、黄体ホルモンが吐き気を引きおこす脳の中枢神経を刺激するためです。また、黄体ホルモンは腸の収縮運動を抑制するため便秘になる人や、妊娠すると腎臓機能が高まるため、体内の血液や水分循環が良くなり頻尿になる人もいます。
このほか、足の付け根に激痛を感じたり、食べ物の好みが変化したり、吹き出物や肌あれに悩まされたりすることも。ホルモンバランスが変化することにより自律神経に変調をきたし、食べ物や匂いで吐き気をもよおすのです。
生理前にも肌あれや吹き出物がおこりやすいですが、妊娠超初期症状の場合は普段と違う場所に吹き出物が出ることがあります。
生理予定日一週間前から気をつけたい生活習慣
妊娠超初期の段階では妊娠検査薬も反応せず、人によっては症状が出ないことも珍しくありません。しかし、普段の行動がお腹の赤ちゃんに影響を与えることもあるため、少しでも妊娠の兆候がある場合は、次にあげるものは控えるようにしましょう。
喫煙
赤ちゃんに悪影響を与える代表的なものといえば、喫煙です。タバコは医学的にも赤ちゃんに良くないことが証明されているため、少しでも妊娠の可能性があればすぐに禁煙しましょう。
アルコール
コップ1〜2杯ほどのアルコールをたまに飲むくらいであれば問題ありませんが、毎日のように飲酒するのはNGです。これまで毎日飲酒していた人でも、妊娠の兆しがあるときは飲酒を控えましょう。
カフェイン
カフェインはそこまで影響がないといわれていますが、できるだけ控えた方が無難です。カフェインが含まれるコーヒーや紅茶などは1日コップ2〜3杯なら問題ないとされていますが、大量に摂取すると赤ちゃんに悪影響を与える可能性があります。
薬の服用
薬の中には赤ちゃんに影響を及ぼすものがありますので、何らかの薬を服用している場合は医師に相談しましょう。
激しいスポーツ
激しいスポーツや肉体的・精神的に負荷の大きな行事は、あまり良くないとされています。スポーツや行事への参加はストレス発散にもなりますので、自分の体調と相談しながら無理しない範囲にとどめましょう。
不規則な生活
不規則な生活が流産の直接的な原因になることは少ないですが、切迫流産のリスクが高い状態であれば流産の可能性を高めてしまいます。妊娠中はできるだけ規則正しい生活を心がけましょう。
刺激の強い洗剤や殺虫剤
妊娠中はカラダがデリケートな状態になっていますので、刺激の強い家庭用洗剤や殺虫剤の使用は控える方が無難です。いつものスキンケア製品や石鹸でも負担になる場合もありますので、低刺激のアイテムに切り替えることも選択肢のひとつです。
生理前の過ごし方のコツ
月経前症候群(生理前症候群)(PMS)は、妊娠超初期症状と同様に生理一週間前頃にあらわれますが、生理が始まるとともに症状が改善・消失します。生理前症状の場合、ストレスを感じると症状が悪化してしまうため、できるだけストレスを感じないように生活することが大切です。
生理前はスケジュールを詰め込まない
PMSは定期的にあらわれる可能性の高い症状です。事前に次の生理日を予測できている場合は、生理予定日一週間前に仕事や予定を詰めこまないように気をつけましょう。基礎体温を記録していると、生理周期を把握できます。自分で生理予定日を計算するのが面倒くさい場合は、生理日予測・管理アプリの使用を検討しましょう。
肌あれ・むくみには食事の見直し
肌あれが気になる場合は、栄養バランスの整った食事をするとともに、美肌効果やむくみ解消効果が期待できるビタミンB群を含む食材を積極的に摂りましょう。玄米や雑穀類、アボカド、バナナ、小松菜、サバ、イワシなどの青魚などに多く含まれます。また、女性ホルモンバランスを整える効果が期待できる大豆イソフラボンを含む納豆や豆乳などにも、ビタミンB群が豊富に含まれています。
イライラ・無気力にはアロマテラピー
PMSによりイライラがおさまらなかったり、だるくて無気力になったりしているときは、メンタルケアのためにアロマを活用してみましょう。気分をスッキリさせたいときはペパーミント、気分が落ち込んでいるときはイランイランなどが効果的です。
お湯を注いだマグカップにアロマオイルを一滴垂らしたり、ハンカチに一滴垂らしたりして香りを吸い込むだけでも効果が期待できます。また、イライラして気分が落ち着かないときは、カノコ草やパッションフルーツのお茶が効果的とされています。
低用量ピル・漢方薬の服用
PMSにより仕事や生活に支障が出ているときは、婦人科で相談を。婦人科で処方される低用量ピルや漢方薬を服用することで、辛いPMSの症状が緩和されることもあります。
普段から自分のカラダを知っておきましょう
妊娠超初期症状は、風邪やPMSの症状と似ているので正確に判断するのは難しいものです。また、人によって症状のあらわれ方に違いがあるため、はっきりとした見わけ方がないのが実情です。
妊娠超初期症状に気づくためには、普段から自分のカラダの様子をしっかり把握しておくことが大切です。基礎体温を測ったり、生理前や生理中のちょっとしたカラダの変化をメモしたりして、自分のカラダを管理しましょう。
妊娠超初期症状によるものではなくPMSだった場合で、日常生活に支障が出ているのであれば早めに婦人科で相談しましょう。PMSは女性ホルモンの変化により生じるもので、自分自身ではコントロールできません。症状の緩和や改善が期待できる低用量ピルや漢方薬の処方を受けるなど、無理せず早めに適切な治療を受けることが大切です。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医