ストレスと女性の不調
●過度なストレスは不調の原因に!
ストレスは、人が生活するうえで避けられないものです。ストレスと聞くとマイナスのイメージを持つ人が多いですが、適度なストレスは緊張感や、やる気を生み出します。しかし、過度にストレスがかかると、自律神経のバランスがくずれて、ココロやカラダにさまざまな症状を引きおこします。
●自律神経のバランスがくずれるとみられる主な症状
1. 目
疲れ目、涙目、目があかない、痛い、目の乾きなど
2. 頭
頭痛、頭重感など
3. のど
異物感、圧迫感、イガイガ感、のどが詰まるなど
4. 耳
耳鳴り、めまいなど
5. 口
乾き、口の中や舌が痛いなど
6. 呼吸器
息苦しい、息が詰まる、息ができない、酸欠感、息切れなど
7. 心臓・血管系
動悸、胸部圧迫感、胸の痛み、めまい、立ちくらみ、のぼせ、冷え、血圧の変動など
8. 手・腕
しびれ、痛み、冷え、ほてり、感覚異常など
9. 消化器
食欲不振、食道や胃のつかえ、異物感、吐き気、腹部膨満感、下腹部の張り、胃の不快感、便秘、下痢、ガスがたまるなど
10. 生殖器
生理不順、生理痛(月経痛)、不感症、性交不能、外陰部のかゆみや痛みなど
11. 泌尿器
頻尿、尿が出にくい、残尿感など
12. 足
しびれ、冷え、ほてり、痛み、ふらつきなど
皮膚
多汗、汗が出ない、冷や汗、皮膚の乾燥、かゆみなど
筋肉、関節
首や肩のこり、痛み、関節のだるさ、力が入らないなど
全身症状
倦怠感、疲れやすい、めまいがする、微熱が続く、フラフラする、カラダがほてる、食欲がない、眠れない、すぐ目が覚める、起きるのがつらいなど
精神症状
不安、恐怖心、イライラ、気がめいる、怒りっぽくなる、集中力や意欲の低下、やる気が出ない、ささいなことが気になる、記憶力や注意力の低下、すぐ悲しくなるなど
●ストレスから生理不順や無月経に
ストレスが原因となっておこる病気や症状はさまざまですが、女性の場合は生理不順や無月経になってあらわれることも多いようです。毎月の生理(月経)は、女性のカラダのバロメーターです。仕事や職場の人間関係などで悩み、ストレスを抱え込んでいたら、いつもは周期的にきている生理が遅れたり、止まったりすることもめずらしくありません。またストレスから生理痛がひどくなることもあります。転職や引越しなどで環境が大きく変化したときは、ストレスがたまりやすいので気をつけましょう。もし無月経の状態が長く続くなら、念のため婦人科でみてもらうことをおすすめします。
●ストレスからココロの病気になることも
生理トラブルのほかにも、ストレスは、肩こりや腰痛、不眠、胃痛、下痢、便秘、頭痛、冷え性、拒食、過食など、さまざまな症状を引きおこします。
ひどくなると、胃潰瘍[いかいよう]や十二指腸潰瘍[じゅうにしちょうかいよう]、腸過敏症などの病気になる人もいます。また、最近はうつ病などココロの病気になる人も増えてきています。うつ病は、早期発見し、早めに治療を受けることが大切です。気になっていることがあれば、お一人で悩まず、早めに心療内科や精神科などに相談してくださいね。
●ストレスからくる肩こり、首のこり
ストレスからくる、肩こりや首のこりに悩まされる女性は少なくありません。ココロの緊張と、カラダ、とくに筋肉の緊張は無関係ではないのです。筋肉の緊張が続くと、血流が悪くなり、肩こりなどを引きおこします。加えて、一日中パソコンに向かっているなどデスクワークが多い仕事は、首や肩にストレスがかかって、慢性的な肩こりが多くなります。肩こりや首のこりを解消するためには、血行をよくして、筋肉の緊張をといてあげましょう。そのためにできるセルフケアは、ストレッチで筋肉を伸ばす、シャワーなどで肩や首を温めて血行をうながすことなど。レンジで温めて肩の上に乗せる温湿布や、寝るときにひく遠赤外線マットなど、肩こり解消グッズもおすすめです。
また、オフィスでもちょっとした時間があったら、軽い体操をして肩や首の緊張した筋肉をほぐすと、かなりラクになりますよ。
肩の運動・首の運動
肩の運動
首の運動
ストレスとじょうずに付き合う方法
●疲れをためすぎないこと。適度に休息をとり、カラダを休める
多かれ少なかれ、だれでもストレスを受けて生きています。ただ、カラダが疲れすぎていると、回復力がおとろえて、ストレスがたまる一方になってしまいます。たまりすぎたストレスは、カラダやココロをむしばんで、病気となってあらわれますので、そうなる前にカラダを休めましょう。ストレスがたまっているときは、カラダも緊張していますから、ゆっくり深呼吸するだけでもほぐれて、少し楽になりますよ。忙しい仕事がひと段落したら、思い切ってお休みをとって温泉に行くなど、ゆっくり休養をとることも大切です。
●十分な睡眠がストレス解消のカギ
ストレスを感じたときは、まずはぐっすり眠ることをおすすめします。睡眠は、カラダを休めるだけでなく、ココロの疲れもとってくれるからです。
なかなか眠れないときは、ぬるめのお風呂にゆっくりつかってからベッドに入るようにしては?カラダが冷えていると、寝つきが悪くなりがちですが、お風呂に入り血めぐりをよくすると、カラダは放熱し、お休みモードに切り替わります。忙しくてお風呂につかる時間がない場合は、足湯だけでも効果があるので試してみてください。
また、寝具を心地いいものに変えたり、お気に入りのアロマオイルの香りで満たしたり、クラシック、小川のせせらぎなどの自然の音、子守唄のような眠りをさそう曲を聴くのも眠気をさそう効果があるそうです。寝る前の激しい運動やスマホ操作、飲食は眠りを妨げるので注意してくださいね。睡眠は長さより「質」が大切ですから、自分なりの方法を見つけて、短くても「よく眠った!」と思える満足度の高い睡眠を心掛けましょう。
●規則正しい生活で、ストレスに負けないカラダを作る
自律神経を整える意味からも、十分な睡眠はもちろんですが、規則正しい生活を心掛けて、ストレスに負けないカラダづくりを目指しましょう。食事は、ジャンクフードは避け、ビタミン、ミネラルが豊富な野菜、大豆製品やお肉などのたんぱく質もバランスよくとります。ウォーキングやヨガなど定期的にカラダを動かすことも大切です。
●自分なりの解消法を見つけて、ストレス発散!
趣味を持って好きなことに熱中したり、旅行や温泉に出かけて気分転換したり、親しい友人とおしゃべりしたりと、ストレスを解消する方法はいろいろありますが、マッサージや半身浴、好きなアーティストの曲を聴くなど、日常でも気軽に行える自分なりの解消法をいくつか見つけておくといいですね。責任感が強い頑張り屋さんほどストレスをためやすいので、ときには人に頼るのも大切です。スポーツでカラダを動かすことも、ストレス解消につながります。とくに、デスクワークが多い仕事をしている人は、週に1回でもいいのでカラダを動かして、リフレッシュしましょう。自分が楽しいことで、じょうずにストレス発散してくださいね。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医