不正出血の検査はどんなもの?
不正出血とは、出血量の多い少ないに関わらず、生理時以外にみられる出血を指します。不正出血の原因はさまざまあり、ストレスや不規則な生活、更年期や思春期、排卵日の前後にみられるホルモンバランスの乱れによるものが代表的です。しかし、不正出血は女性器疾患が原因となって生じている場合もあります。
不正出血自体はそれほど珍しい症状ではないものの、子宮頚がんや子宮体がん、子宮内膜炎などの疾患が隠れている可能性もあるため、不正出血がみられたら、たとえ出血量が少なくてもできるだけ早く病院で診察を受けることが大切です。
婦人科では、場合によってホルモンの血液検査、子宮卵巣エコーや子宮頚部もしくは内膜の細胞診などがおこなわれ、明らかな異常や腫瘍がない場合は経過観察となります。しかし、診察時点ですでに2週間以上不正出血が続いていれば、ホルモン剤などによる止血処置が施されるのが一般的です。
また、検査で異常がみつからなくても、不正出血を繰り返すことも。この場合、疾患がごく初期段階で発見できなかった可能性もあるため、再度病院で検査を受けましょう。以前の状態との違いを比較するためにも、検査のたびに違う病院を選ばず、できるだけ同じ病院で検査を受けることをおすすめします。
不正出血の検査にはさまざまな種類がある
不正出血で婦人科に相談した場合、一度にすべての検査がおこなわれるわけではありません。不正出血の状態や原因は個人差が大きいため、必要に応じてさまざまな検査が選択されることになります。
一般的には、まず内診で出血の様子や子宮卵巣の状態を確認します。それから超音波検査では、子宮内の腫瘤や子宮内膜の肥厚を調べ、子宮がんなどの病気になっていないかを調べます。不正出血の原因が何らかの感染症によるものと推察される場合は、おりものの培養検査で細菌感染の有無を確認します。また、クラミジアや淋病などの性感染症の検査がおこなわれることもあります。
このような検査をおこない不正出血の原因を特定していきます。機能性出血は、排卵時のホルモンバランスの急激な変化が原因でおこる出血です。検査で女性器疾患が原因の器質性出血の可能性が除外された場合に、機能性出血と診断されます。このほか、女性ホルモン剤や乳がん治療薬などの薬物使用や、出血が症状としてあらわれる内科的疾患の影響も確認し、不正出血の原因を特定していくのが一般的です。
不正出血で検査を受けるときの注意点は?
婦人科でおこなわれる検査には、妊娠中や生理中でも受けられる検査と、子宮頚部細胞診や子宮内膜細胞診のように生理中は避けるべき検査があります。
不正出血で検査を受ける場合は、出血がある間に受診しましょう。不正出血の原因を特定するためにも、出血部位の確認は大切ですし、出血が止まるまで待っていては処置が遅れてしまう可能性もあります。
ただ、出血中は感染症の検査や子宮頚部細胞診や子宮内膜細胞診はおこなえませんので、検査の必要がある場合は、出血が止まった後に再度受診して検査を受ける必要があります。また、出血にあわせてかゆみがあり、かゆみをおさえる薬を使用するときは、出血で効果が薄れてしまうことがあるので、出血がおさまってから膣錠を挿入することが多いです。
診察を受ける前に、事前に医師に伝えておきたい症状をメモしておくと、問診時の医師の質問にもスムーズに答えやすくなります。また、顔色や爪の状態から症状をみることもありますので、できるだけ化粧を控えめにし、ネイルは塗らずに受診しましょう。
診察時の服装を指定されることはありませんが、着替えやすい服装の方がスムーズに内診の準備ができます。ゆったりしたスカートやソックスなら、着たままの状態でも内診をおこなってくれる病院もあります。
不正出血の検査前はシャワーを浴びていいの?
不正出血で診察を受ける場合、検査があることを考慮してシャワーやビデなどで事前に洗浄しておくべきか悩むこともあるでしょう。しかし、不正出血の検査では、膣内に異常がないかどうか調べますので、シャワーや入浴、ビデなどで膣内を洗浄しすぎてしまうと、正しい検査結果が得られなくなってしまう場合もあるため注意が必要です。
どうしても洗っておきたい場合は、外陰部の洗浄にとどめておき、膣内までは洗浄しないように注意します。不正出血の原因を正確に判断するためにも、医師に現在の状態をきちんと診てもらいましょう。
また、検査内容によっては、検査後は軽いシャワー程度にするよう指示されることも。特に、子宮体がん検査後は、人によっては生理中のような出血が4~5日続くこともありますので、出血が止まるまでは入浴をせず、シャワーで済ませるようにしましょう。
不正出血の検査は早めに受けましょう
不正出血の原因はさまざまあり、同じ原因でも症状に個人差が大きい傾向にあります。婦人科ですべての検査がおこなわれるわけではなく、医師により症状に応じて必要な検査が選択されるのが一般的です。不正出血の状態や出血量は人によって異なりますが、少しでも不正出血があったらできるだけ早めに婦人科で相談することが大切です。
もし子宮頚がんや子宮体がんが原因で出血していたとしても、早期発見により早く治療を開始できれば治癒する可能性が高まります。また、診察時には、基礎体温表を持参すると医師の診断の助けになり、不正出血がホルモンバランスの乱れによるものか、妊娠によるものか判断しやすいですし、生理周期に異常がないかの確認もできます。
不正出血の悩みは人に相談しにくいものであるため、つい婦人科に行くのを後回しにしてしまいがちですが、不正出血の原因には重大な疾患が隠れている可能性もあるため、自己判断で放置しないことが大切です。できるだけ早めに検査を受け、治療が必要かどうかを判断してもらいましょう。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医