子宮がんの症状と改善方法
●子宮がんはどこにできるの? その症状とは
子宮にできるため「子宮頸がん」と「子宮体がん」は、ひとくくりに「子宮がん」とされがちですが、それぞれは全く性質の違うがんです。
まず「子宮頸がん」ですが、これは子宮の入口の子宮頸管部にできるがんのこと。初期における自覚症状はほとんどありません。
一方「子宮体がん」は、子宮内膜にできるがんのことで、生理不順(月経不順)や閉経後の女性に多いとされていて、不正出血といった自覚症状があるのが特徴です。
●子宮がんができる箇所はここ
子宮は縦7~8㎝、幅4㎝の鶏卵ほどの大きさで、洋ナシのような形をしています。
このうち膣の奥、子宮の入口にある子宮頸管部にできるがんを「子宮頸がん」といい
その奥の、子宮内膜に発生するがんを「子宮体がん」といいます。
●子宮頸がん、子宮体がんともに早期発見が大事!
「子宮頸がん」の初期はほとんど症状がありませんが、セックスの経験がある人ならだれでも発症リスクのあるがんで、最近では20~30代の女性に増えています。「まだ若いから」と油断せず、定期的な検査を受けるようにしましょう。子宮頸がんができる場所は、子宮の入口のため検査も簡単で、早期発見が可能です。がんになる前段階の「子宮頸部異形成」という状態で見つかることもあるため、その点からも定期的な検診が有効です。
子宮頸がんは、若い女性にも目立つことから、検診の対象年齢を20才以上に引き下げている自治体や職場も増えてきました。こうした制度を利用して、年に1回は必ず受けたいものですね。
一方「子宮体がん」ですが、こちらは子宮頸がんとは異なり、初期の段階で9割の人に不正出血など分かりやすい症状があります。不正出血があったときは、念のため婦人科でチェックするようにしましょう。
●子宮頸がんはどうして発症するの?
「子宮頸がん」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染が大きく関わっています。このHPVはごくありふれたウイルスなのですが、多くの場合、セックスで感染すると考えられていて、性交経験がある女性の80%が50歳までに一度は感染するといわれています。このウイルスに感染しているからといって、全ての人が子宮頸がんになるわけではありませんし、HPVは100種類以上の型があり、ウイルスのタイプによっては自然に治ることもあります。ですが子宮頸がんに進行する可能性もあるため、セックスの経験がある人は、定期的な検診が大切です。
●子宮体がんはどうして発症するの? 子宮頸がんとの違いは?
「子宮体がん」は、子宮の内膜にできるがんです。そのため「子宮内膜がん」とも呼ばれます。女性ホルモンや代謝系(肥満、高血圧、血糖、脂質異常)などの分泌バランスがくずれることが影響しており、子宮頸がんとはまったく別の要因で起こると思ってください。
排卵が止まる閉経以降の女性に多い病気ですが、最近は30代の若い人にも増えてきています。これには少産化、食生活の欧米化によって肥満傾向の人が増えたことが関係しているといわれいます。生理不順や無月経の人、母親や姉妹など家族が子宮体がんになったことのある人は、リスクが高くなります。
●子宮頸がんと子宮体がんの対処法とは?
子宮頸がんは、初期であれば、膣から患部を切り取ったり、レーザーで焼いたりする治療が可能です。子宮を残すこともできるので、妊娠・出産、性生活にも支障はありません。
子宮体がんも、早期発見に越したことはありません。そのためにも、若い人であっても子宮頸がんは定期的に、不正出血などの異常が見つかったら、念のため子宮体がんの検査を受けるようにしましょう。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医