生理中でもお風呂に入って問題ない?
生理中にお風呂に入っても問題はありません。清潔なお湯に浸かるのであれば、膣炎をおこす可能性はまずありませんし、水圧で経血も出にくい状態になっているため、お風呂の中が血まみれになる心配も不要です。
ただ、浴槽から立ち上がった瞬間に経血が出ることもあります。経血量(生理出血量)が多い人は、生理3日目までは入浴を避けたり、足湯にしたりしましょう。
生理のときデリケートゾーンはどこまで洗っていい?
デリケートゾーンを洗うときは、膣内まで洗わないようにすること。膣の中は自浄作用があるため、中まで洗わなくても雑菌が繁殖する心配はまずありません。
ただし、外陰部は全体的に丁寧に洗ってください。とはいえ、外陰部はデリケートな粘膜のため、アルカリ性の石鹸やボディソープを避け、デリケートゾーン専用の弱酸性ソープがおすすめです。洗いすぎやこすりすぎにより外陰部に傷がついて、炎症やかゆみを引きおこす可能性もありますので、ぬるま湯でやさしくそっと洗うのがポイントです。
生理中に長風呂をしても大丈夫?
生理中はお風呂に浸かることはもちろん、長風呂をしても基本的に問題ありません。入浴中に雑菌が膣内に入り込む心配はありませんし、水圧でお風呂の中に経血がモレてしまう心配もほとんどないためです。
また、生理中の人がお風呂に入ったことで、その後に入浴する人に何らかの悪影響が出ることもありません。ただ、お湯から上がった瞬間に経血が出てしまったり、脱衣場に経血が垂れてしまったりすることはありますので、マナーとして注意しましょう。お風呂に入る前に、まずシャワーでデリケートゾーンの経血を洗い流し、入浴後もシャワーで洗い場をきれいにしておくと、後から入浴する人も気持ち良くお風呂に入れるでしょう。
生理中はできるだけ長風呂をせずにさっと出るべきと考えている人もいますが、お風呂で血流が良くなると、発痛物質であるプロスタグランジンの代謝が促されて、生理痛(月経痛)が緩和されることもあります。
半身浴で長風呂することも問題ありませんので、重い生理痛があるときこそゆっくり入浴してカラダを温めましょう。半身浴は、38〜40度のお湯に20分以上浸かるのが効果的です。肩にタオルなどをかけて上半身を冷やさないよう気をつけてください。
生理中にお風呂に入るときのポイント
生理中に限らず、お風呂は清潔なお湯を張るのが基本です。何日も同じお湯を使いまわすのは止めましょう。お風呂の温度は、38〜40度のぬるめが良い、カラダが冷えやすいので熱めが良いなど、さまざまな説がありますが、実際のところそこまでお湯の温度を気にする必要はありません。
ぬるいお湯だと、卵巣や子宮が冷えてしまうのではないかと不安に思う人もいるかもしれませんが、卵巣や子宮を守る骨盤はカラダの中でもっとも体温が安定している部位です。手足の先が冷えたくらいでは、卵巣や子宮まで冷えることはほぼありません。
カラダをいたわるのは大切ですが、生理中だからと神経過敏になりすぎると、ちょっとしたことでストレスがたまってしまいます。生理中を快適に過ごすためには、細かいことをあまり気にせず、ゆったりとした気持ちで過ごすように心がけましょう。
生理中は温泉・銭湯など公共のお風呂に入れない?
生理中の入浴を禁止しているスパや温泉・銭湯は少なくありませんので、利用する前にその施設の注意事項をよく確認しましょう。禁止している背景には、一般的に温泉は雑菌が多く生理中の入浴による感染症のリスク、逆に経血がほかの人へ感染症をうつしてしまうリスクなどがあげられます。もし、「生理中の入浴は控えてください」などの注意事項があれば、たとえ経血がモレない自信があっても入浴しないでください。
生理中の入浴が禁止されていない施設であっても、浴場に経血がついたり、湯船に血をにじませてしまったりするのはマナー違反です。経血量の多い生理3日目までの利用はできるだけ避け、4日目以降どうしても入りたい場合はタンポンや月経カップを利用して、他の利用者に配慮するようにしましょう。タンポンのヒモが気になる場合は、絆創膏や肌色のテープなどでヒモを内ももに貼り付けておくのもひとつの方法です。
入浴後も脱衣場を汚さないよう、できるだけ早めにタオルでカラダを拭きましょう。公共施設を利用する場合は、他の人も気持ち良く利用できるように心がけてください。
生理だからこそお風呂を活用しよう!
生理中はいつもより慎重になりがちですが、お風呂でカラダを温めることで生理痛がやわらぐなどのメリットもあります。お風呂を有効活用して、できるだけ生理期間を快適に過ごしましょう。
あらかじめ温泉やスパなどの予定がわかっている場合は、ピルを服用して生理期間をずらす方法もあります。ピルは医師の処方が必要です。直前の服用では間に合いませんので、予定の2〜3ヵ月前に婦人科で相談してください。また、ピルの副作用で頭痛や吐き気がする可能性があるため、事前に医師の説明をしっかり受けましょう。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医