生理前に臭いが強くなる原因は?
生理前から生理後にかけて、デリケートゾーンの臭いが強くなるのには理由があります。その最も大きな原因は、生理周期にあわせて変化するホルモンバランスです。
排卵後から生理が始まるまでの間は、黄体ホルモンという女性ホルモンの分泌量が増えます。黄体ホルモンは妊娠をサポートし、膣内をおりもので満たす作用を持つホルモンです。しかし、妊娠がおこらなかった場合、臭いの原因となる粘度の濃いおりものが出ます。また、黄体ホルモンには、汗や皮脂の分泌量を増やす作用もあるため、臭いのもととなる雑菌が増えやすいのも原因のひとつです。
生理前のおりものが気になる場合は、パンティライナー(おりものシート)を交換することで、下着におりものが付着したままになるのを防ぎましょう。また、入浴時にはデリケートゾーン専用の石鹸でやさしく洗うのもおすすめです。清潔に保つことは大切ですが、洗いすぎやゴシゴシこするのはトラブルのもとなので気をつけましょう。
生理中の臭いは経血によるもの?
生理中の臭いの原因は、経血による部分が大きいです。排出されたばかりの経血は無臭ですが、嫌な臭いを発するようになるのは、時間の経過とともに経血が酸化して雑菌が繁殖するためです。長時間同じナプキンをつけ続けると、臭いも発生しやすくなります。特にタンポンを使用している場合、膣内で雑菌が繁殖してTSSになるリスクもあるため気をつけましょう。
※TSS…トキシックショック症候群
生理用品の種類によっては、臭いが抑えられるように開発されたナプキンもあります。ソフィのナプキンは香りつきのタイプもあり、ポーチから取り出すときや、交換するときにふんわりと香り、臭いが気にならなくなるような工夫がされています。特に臭いが気になるときには、臭いの元を簡単に拭き取れるソフィデリケートウェットシートなどを携帯するのもおすすめです。
生理後でも臭いがすることはある?
生理が終わって経血が排出されなくなっても、生理中のような臭いが続く場合があります。これは、外陰部が不衛生である場合が多いです。長時間同じナプキンやパンティライナーを使用していると、デリケートゾーンがムレて雑菌が繁殖し臭いやすくなります。定期的な交換を心がけ、清潔に保つことが大切です。
もし、生理が終わっても生理特有の臭いが消えない場合は、病気の可能性もあるため、自己判断で放置せずに婦人科で相談しましょう。
生理の気になる臭い対策
生理の臭いは、少しの工夫で軽減できます。まずは、デリケートゾーンを清潔に保つことです。経血は体外に排出されて空気に触れると、15分後には酸化が始まります。そのまま3時間も経過すると、雑菌が増えて臭いを発生しやすくなるため、こまめにナプキンを交換することが大切です。
経血が外陰部に付着したままになっていたり、アンダーヘアが経血で濡れた状態が続いたりすることで、嫌な臭いが発生することもあります。生理中は特に注意してトイレのビデ機能やシャワーなどできれいに洗いましょう。
洗い流せない場合は、トイレットペーパーなどで丁寧に拭き取るようにしてください。アンダーヘアが長くて経血が付着しやすい場合は、短く処理する、VIO脱毛などで雑菌が繁殖しにくい環境を作りましょう。また、通気性のよいナプキンやサニタリーショーツ、タンポンを使用すると臭いが軽減する可能性があります。
おりものから臭いがする場合は病気?
おりものから嫌な臭いがするときは、性感染症などの可能性もあるため注意が必要です。酸っぱい臭いがする場合は、おりものの中にいる乳酸菌の臭いですので問題はありません。乳酸菌には雑菌の繁殖を抑える役割があるため、洗浄力の強いボディソープやビデなどでデリケートゾーンを洗浄しすぎるのは逆効果です。かえって雑菌が増えやすくなり、余計に臭いが強くなる可能性が高いので、気を付けましょう。
おりものの臭いだけでなく、おりものの量が多かったり、色がおかしかったりする場合は、膣炎や性病の可能性が考えられます。細菌性膣炎、カンジダ膣炎、淋病、クラミジア感染症などが疑われますので、気になる症状がある場合は、早めに婦人科で診察を受けましょう。かゆみや痛み、不正出血なども性感染症によりあらわれる症状です。
臭い対策で生理を快適に過ごしましょう
女性特有の悩みである生理の臭いは、適切に対策することで軽減できます。何よりもデリケートゾーンを清潔に保つことが大切なので、こまめにナプキンを交換する、トイレの度に経血をきれいに洗い流すか拭き取る、アンダーヘアへの経血の付着を予防するだけでも、生理の臭いがかなり軽減されます。
また、パンツよりもスカートの方が通気性が良いため、ムレ予防になり臭いが軽減されることも。生理中は臭いや経血のモレが気になってパンツルックを選びがちですが、スカートも臭い対策のひとつです。
嫌な臭いが生理後も慢性的に続き、不正出血やかゆみ、痛みなどある場合は、婦人科で検査を受けましょう。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医