生理周期の数え方
自分の生理周期がどれくらいかわかると、妊娠の可能性を確かめやすくなります。でも、案外自分の生理周期がぼんやりとしかわからないという人は多いもの。
まず、生理周期の数え方をおさらいしておきましょう。生理周期とは増殖期(卵胞期)・排卵期・分泌期(黄体期)・月経期のサイクルのことです。生理周期は人によって個人差がありますが、正常な周期は25~38日とされています。
毎月必ず同じ周期で生理になるという人は少なく、健康な人でも2、3日予定日がズレることは珍しくありません。ストレスや睡眠不足などで1週間遅れることもあるので、妊娠ではなく単に生理が遅れているだけという可能性もあります。
このように生理周期は月によって変わることもあるため、正確なサイクルを知るにはスケジュール帳などで記録しておくことが大切です。生理周期を何ヵ月分か記録しておき、平均的な生理周期が何日間か、また、遅れる頻度はどのくらいかといったことをチェックしておくと、いざというとき役に立ちますよ。
妊娠しやすい時期はいつ?
生理周期のどの時期が妊娠しやすいかを知っていると、性交渉があった時期と見比べることで妊娠の可能性を予測できます。生理周期のうち、最も妊娠しやすいのが排卵期です。排卵日は卵巣の中にある卵胞に脳下垂体からの指令が出て、卵胞が破れ卵子が腹腔内に飛び出す日のことです。卵子が精子と出会って受精したのち、子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。
卵子が受精できるのは12~24時間と限られていますが、精子は平均して3~4日、元気なものは5日も生きることができます。排卵日の前後4~5日が最も妊娠しやすい時期だということがわかりますね。一般に排卵日の前後のことを「危険日」と呼ぶのはそのためです。
排卵日は、基礎体温から予測することができます。この基礎体温は普通の体温計よりも目盛りが細かい婦人体温計を使って計測します。測るタイミングは、毎朝目が覚めたとき。ベッドに入ったまま測りましょう。普通、生理が始まってから14日間の低温期があり、ガクンと基礎体温が下がった後、14日間の高温期に入ります。基礎体温が一度急激に下がってから上昇するのが排卵のサインです。
排卵期を「危険日」と呼ぶのに対し、高温期4日目から次の生理が始まるまでを「安全日」と呼ぶことがあります。これはその期間が比較的妊娠しにくい時期だからです。でも、安全日だからといって、絶対に妊娠しないわけではありません。女性のカラダはとてもデリケートなので、少しの変化で排卵日がズレることがあります。排卵日を特定するのは難しいので、いつでも妊娠の可能性はありえます。
妊娠初期の症状をチェック
妊娠したかもしれないと思ったら、妊娠の初期症状にどれくらい当てはまるかチェックしてみましょう。妊娠初期とは妊娠4ヵ月までの時期のことですが、妊娠2~4週からカラダの変化を感じ始める人がいます。
ちなみに、妊娠週の数え方は少し複雑です。妊娠前の最後の生理の週を起点として妊娠0週と考えます。排卵が起きて受精するのが妊娠2週、実際に子宮内膜に受精卵が着床して妊娠が成立するのは妊娠3週です。
妊娠すると女性のココロとカラダにはさまざまな変化が生じます。初期症状は月経前症候群(生理前症候群)(PMS)と似ていますが、いつもの生理前の症状より、胸が張る・イライラする・眠気が強いといった症状を訴える人がいます。
また、風邪とよく似ていて間違いやすいのが、カラダがだるい・熱っぽいなどの症状です。妊娠5~6週からはつわりの症状も出始め、胃がもたれたり、においに敏感になったりします。50~80%ほどの女性が妊娠初期の特徴であるつわりを感じます。
ただし、初期症状は個人差があり、出ない人もいます。症状がないから妊娠していないだろうと自己判断するのは危険なので、きちんと経過を観察することが必要です。
妊娠以外の生理不順の要因は?
妊娠中や授乳中に生理がストップするのは自然なことですが、それ以外の時期に生理が遅れるのは要注意です。正常な生理周期は25~38日で、これより短かったり長かったりする場合は生理不順のサインです。
生理不順はストレスが原因で引き起こされることが少なくありません。強いストレスにさらされると脳の視床下部や脳下垂体が影響を受け、女性ホルモンの分泌が抑制されがちです。ストレスを減らすために、自分なりのリラックス方法を見つけておくことが大切です。
過度なダイエットも生理不順を引き起こします。食事を抜くなどの極端なダイエットで栄養が不足すると、カラダは危機感を感じます。生命維持を優先するため生理をストップさせてしまうのです。健やかな生理周期を取り戻すには、栄養バランスの整った食事が欠かせません。ダイエットをする場合は、間食を控えたり、適度な運動を取り入れたりして、健康的なダイエットを心がけましょう。
慢性的な疲れや冷えも避けるべき要素です。疲れは女性ホルモンの働きを鈍らせ、ホルモンバランスを崩してしまいます。また、冷えは血液の循環を悪くし生理不順を引き起こすことがあります。冷たい食べ物や飲み物を控えることや、お風呂に入ってリラックスしながらカラダを温めるなどの工夫をしましょう。
妊娠検査薬で、妊娠の可能性をチェック
妊娠しているかもしれないと思ったら、妊娠検査薬でセルフチェックしてみましょう。一般的な妊娠検査薬は500円前後でドラッグストアで売られています。病院の妊娠検査薬は精度が少し高めで3,000円ほどします。
一般の妊娠検査薬は、尿の中のホルモン量で妊娠しているか調べるシステムです。妊娠すると女性の体内ではhCGホルモンが分泌され始めます。このホルモンは尿の中にも出てくるようになり、生理予定日を1週間過ぎる時期には陽性反応が出るようになります。
もともと生理不順で生理予定日がわかりにくいという場合には、性交渉があってから2週間以上後に検査してみましょう。直後の場合、まだhCGホルモンが陽性反応値に達していないことがあるからです。
妊娠検査薬の使い方は、尿採取部分に直接尿をかけることもできますし、コップなどに尿を入れその中に検査薬を浸す方法もあります。スティック状になっている妊娠検査薬には検査が終了したことを示す終了窓と、判定結果が出る判定窓があります。
既定の判定時間を待って終了窓に線が出れば、判定が出たということです。終了窓に線が出ない場合は尿の量が間違っていたということなので、新しい検査薬でやり直しましょう。判定窓に線が出ていれば陽性、出ていなければ陰性です。
一般の妊娠検査薬の精度はかなり高いですが、検査時期が適切でなかった場合や、hCGホルモン濃度が不足していたなどの理由で正確な結果が出ないケースもあります。妊娠検査薬の結果だけで判断するのではなく、医療機関での診察を受けましょう。
早めに医師の診察を
生理がいつもより遅れているなど、妊娠が疑われる場合にはまず生理周期と照らし合わせ、妊娠初期症状が出ていないかチェックしましょう。妊娠検査薬を使ってセルフチェックすると安心です。
妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は、出来るだけ早く病院に行く必要があります。妊娠初期はとてもデリケートで大切な時期です。妊娠しているなら早めに病院に行って、子宮外妊娠などの異常がないか確認することが必要です。早めに妊娠に気がつくことができれば、トラブルがあった場合も対処しやすくなります。
検査薬だけでの判断は危険なので、陰性反応が出た場合にも、懸念点がある場合は病院に行くようにしましょう。いずれにせよ日頃から生理周期を確認し、カラダの状態をチェックしておくと、妊娠にも早く気づくことができるでしょう。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医