避妊の基礎を覚えましょう
●避妊の方法は、どれを選んだらいいの?
避妊法には手軽に行える方法や、病院で専門の処置をしてもらう方法などさまざまです。どの方法もメリットとデメリットがあります。パートナーと相談しながら、自分たちに合ったベストな方法を選びましょう。
一般的に、おすすめできる避妊法の条件は以下のものになります。
(1)避妊できる確率が高い
(2)カラダへの負担が少ない、害がない
(3)性感をさまたげない
(4)妊娠してしまったときにも、胎児に影響がない
(5)避妊をやめれば妊娠が可能
(6)費用があまりかからない
●もっとも安価でポピュラーなのが「コンドーム」
日本でもっともポピュラーで安価な避妊法はコンドームです。STD(性感染症)の予防もできることから、使用が推奨されている避妊具です。しかし、コンドームはきちんとした使い方をしないと、避妊効果も半減します。コンドームを使っていたのに妊娠したという人の多くは、誤った使用法によるものです。
たとえば、性交の途中からコンドームをつける人がいますが、これは危険です。射精する前でも分泌物に微量の精子が混じっていることがあるので、必ずペニスを挿入する前につけるように。また、射精後はできるだけ早く、コンドームの根元を持ちながらペニスを抜くようにします。引き抜くときに、コンドームがはずれて膣内に精子がこぼれてしまうこともあるので注意しましょう。
●ピルは女性主体でできる成功率の高い避妊法
女性主体でほぼ100%避妊できることから、欧米ではポピュラーで、日本でも服用する人が増えてきているのが「低用量ピル」による避妊法です。ただし、ピルで避妊はできてもSTD(性感染症)を防ぐことはできません。そのような心配があるときは、コンドームを併用します。
●その他の避妊法
ペッサリー:金属性の輪に半球状のゴム膜を張ったものを膣内に挿入し精子の進入を防ぐが、指導員に挿入の指導をしてもらう必要があるうえ、慣れないと挿入に時間がかかったり、うまく挿入されないことがある。
殺精子剤(錠剤、ゼリー、フィルム):精子の運動能力を失わせる物質を性行為の前に挿入して進入を防ぐ。効果があらわれるまでの時間と持続時間の問題でタイミングを合わせることが難しく、失敗率も高い。
不妊手術:男女ともに、手術によりほぼ永久的に避妊できるが、元に戻すことが大変難しいので慎重な決断が必要。
●間違った避妊法に惑わされないようにして
射精する直前に膣からペニスを抜いて、外に射精する「膣外射精」は、多くの人が取り入れていますが、これは間違った避妊法です。射精前であってもペニスから精子はもれていますし、ペニスを出すタイミングが遅れることもあるからです。
また生理周期(月経周期)から排卵期や安全日を推測する「オギノ式」も失敗率が高い避妊法です。排卵期を避けてセックスをする考え方は基礎体温法と同様ですが、体温をもとにする基礎体温法とはちがい、オギノ式はあくまでも推測。排卵期は月によってずれたり、生理不順の人は排卵日が分からなかったりするため、あまりあてになりません。
また「性交後に膣を洗えば大丈夫」、「生理(月経)中のセックスは妊娠しない」といった情報もありますが、いずれも根拠のない俗説です。
●避妊法を組み合わせてセーフティセックスを
どの方法の避妊率も100%ではありません。
たとえば、100%避妊できるとされるピルも、飲み忘れると失敗することもあります。またコンドームが行為の途中で破れるなどの失敗をしたら、モーニングアフターピルを処方してもらうと安心でしょう。このように避妊法は1種類だけでなく、いくつか組み合わせることも考えましょう。避妊は二人の問題と考えて、パートナーと最善の方法をとるようにしてくださいね。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医