低血圧の症状と原因は?
●最大血圧100mmHg以下なら低血圧
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の壁に与える圧力のことをいいます。心臓が収縮して血液を送り出したときの血圧の数値を「最大血圧」、一方、心臓が拡張して血液を戻すときの血圧を「最小血圧」といいます。WHO(世界保健機関)によると、血圧の正常値は、最大血圧100~130mmHg、最小血圧61~89mmHgです。低血圧は、この範囲を下回る、最大血圧100mmHg以下のことを指します。
●低血圧の原因のほとんどが遺伝や体質
低血圧には、遺伝や体質によるものと、病気が原因でおこるものとがありますが、ほとんどが遺伝や体質によるものです。低血圧の人は、血液を送り出す心臓のポンプ力が弱いため、血液の流れが弱くなります。当然、心臓に戻るのも遅くなり、ますます心臓から送り出される血液の流れは悪くなります。とくに、長時間立っているとき、脳への血液の流れが弱く血液量が減ってしまうと、立ちくらみやめまいをおこします。これは脳貧血と呼ばれる症状です。
●朝に弱い、肩こり、めまいなどの症状が
低血圧の人は、自律神経が乱れやすい傾向があります。そのため、朝の目覚めが悪かったり、午前中はなかなか仕事のエンジンがかからなかったり、肩こり、冷え性、めまい、立ちくらみなどの症状を慢性的に持っていることが多いのです。春先や秋口など気候の変化が激しいときは、生活リズムの乱れやストレスなどによっても体調をくずしやすいので、とくに注意しましょう。
早寝早起き、適度な運動で低血圧に対抗
●朝一番に体を温め、血流をよくする
低血圧は病気ではないので、日常生活に支障がなければ、とくに治療の必要はありません。しかし、低血圧体質とじょうずに付き合っていく工夫は必要です。午前中にエンジンがかかりにくい人は、出勤前にやや熱めのシャワーを浴びて、カラダを目覚めさせるのも手。また、ウォーキングやストレッチなどの運動も心臓のポンプ力を高める効果があり、おすすめです。
●規則正しい生活で
自律神経のバランスを乱さないように、規則正しい生活を送ることも大切です。とくに生理(月経)前や季節の変わり目には、気をつけましょう。また、朝が弱いからといって夜ふかしが続くと、さらに朝の目覚めが悪くなるというように、悪循環におちいります。少しずつでも早寝早起きを心がけましょう。ただし、どうしても症状がつらいというときは、内科や婦人科を受診するという方法もあります。
●低血圧とうまく付き合う生活術
<低血圧とうまく付き合う生活術 1>
・早寝早起きの規則正しい生活を心がける
夜ふかしをやめて早起きを心がければ、朝の目覚めもよくなります。
<低血圧とうまく付き合う生活術 2>
・モーニングシャワーで心身を目覚めさせる
起きてすぐやや熱めのシャワーを浴びましょう。自律神経の交感神経が働いてカラダが目覚めます。
<低血圧とうまく付き合う生活術 3>
・無理のない運動をする
運動は心臓のポンプ力を高めて血行をよくしてくれます。ストレッチ、ラジオ体操、ルームサイクル、ウォーキングなどを毎日の生活にとり入れてみましょう。
<低血圧とうまく付き合う生活術 4>
・自律神経のバランスを乱さない
季節の変わり目、生理の前などは自律神経のバランスが乱れやすいので、いつも以上にカラダをいたわりましょう。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医