生理が起こるメカニズムをご紹介
女性のカラダは、増殖期(卵胞期)、排卵期、分泌期(黄体期)を経て月経期が起こるというサイクルを繰り返しています。まず、増殖期(卵胞期)は、卵胞刺激ホルモンの働きにより、卵巣内で卵子の成熟が始まる時期です。この卵胞の発育に合わせて卵胞ホルモンの分泌量が増え、子宮内膜も少しずつ厚みを増していきます。卵子が成熟し、卵胞ホルモンの分泌がピークになると黄体化ホルモンの分泌が始まり、卵胞から卵子が飛び出して排卵が起こります。これが排卵期です。
排卵後、卵胞は黄体という組織になり、黄体ホルモンの分泌を始めます。この作用により子宮内膜が柔らかく変化を始め、受精卵が着床して妊娠したときに備えた状態に変化していくのです。
しかし、妊娠が成立しなかった場合、黄体の機能は次第に衰え始めます。女性ホルモンである黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌量も減少し、使われなかった子宮内膜が崩れて剥がれ落ちて、血液とともに体外に排出される生理が始まるのです。生理後は、再び卵胞刺激ホルモンの分泌量が増えて増殖期(卵胞期)になるというサイクルが繰り返されていきます。
34日の周期で生理が来る!問題はない?
一般的に生理周期は28日と言われることが多いため、生理周期が34日刻みになると長すぎるのではないかと不安に思うことも少なくありません。しかし、生理周期は25〜38日間隔である人が最も多く、この範囲内に収まっていれば正常といえます。
生理周期は個人差が大きいだけではなく、生活習慣や体調によっても変化しやすいものです。同じ人でも常に一定のタイミングで生理がくるわけではないため、次回の生理予定日から数日ズレることは珍しいことではありません。
そのため、生理周期の多少のズレはさほど気にする必要はありませんので、焦らず生理が来るのを待ちましょう。ただし、生理開始予定日から1週間以上も遅れている場合は注意が必要です。何らかの原因により生理が遅れている可能性があると考えましょう。
生理周期が長い!病気が隠れている可能性も
生理周期には個人差が大きいとはいえ、正常範囲である25〜38日を超えてしまっている場合は注意が必要です。生理周期が39日以上の状態は、「稀発月経」と呼ばれています。稀発月経は、卵巣機能が不十分であったりホルモン分泌に異常を生じている場合に起こります。
また、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」や「高プロラクチン血症」などの疾患が原因で稀発月経を引き起こしている可能性もあるため、症状が長引いている場合はできるだけ早めに婦人科を受診するようにしましょう。多嚢胞性卵巣症候群は、米国における最も一般的な不妊症の原因ですし、高プロラクチン血症による無月経から不妊を引き起こす可能性もあります。
稀発月経でも排卵があれば妊娠や出産が可能ですが、無排卵になっているケースも少なくありません。1〜2ヵ月経っても稀発月経の状態が続いているようであれば、一度婦人科で血液検査を受けてホルモンバランスの状態を調べるようにしましょう。
もし生理周期が延びて生理が来なくなってしまっている場合、その状態を放置すればするほど自力で生理を起こせる可能性は低くなり、不妊のリスクは上昇します。生理周期が3ヵ月以上に延びてしまっているようであれば、婦人科で適切な治療を受けることが大切です。
ただし、初潮直後や閉経直前の数年間は生理周期がズレやすくなり、1回の周期も長くなる傾向があります。初潮直後であれば年齢とともに生理周期は安定していきますので、しばらく様子をみるようにしても良いです。日本人女性の閉経の平均年齢は50.5才ですが、ストレスなどの影響により30代で閉経を迎える早発閉経の人も増えている傾向にあります。
生理周期を把握しておくと妊娠検査もしやすい
妊娠検査薬は97%で正確な結果が得られると言われていますが、これは妊娠検査薬を使用するのに適した期間に使用した場合です。妊娠検査薬には生理予定の1週間後や生理予定日から使えるものがありますが、いずれにしろ正確な結果を得るためには生理周期を把握し、次回の生理予定日を推測できるようにしておくことが大切です。
また、生理周期を把握していれば、生理の遅れから妊娠に気付きやすくなるのも大きなメリットといえます。生理周期が正確な場合、生理予定日から1週間すぎても生理が来なければ、妊娠している確率が高いと判断しましょう。
このほか、基礎体温の変化からも妊娠の可能性を推測しやすくなります。通常、生理予定日には体温が下がりますが、妊娠すると体温が下がらずに高温期が続きます。継続的な基礎体温の記録から、高温期(排卵日からおよそ2週間)と低温期(生理予定日から排卵までの2週間)が把握できていれば、高温期が3週間以上継続した時点で妊娠の可能性を推測できるようになるのです。
基礎体温の変化を記録しておくと、自分の体調の変化を予測できるようになりますし、健康維持にも役立ちます。手帳やカレンダーに手書きで記録するのも良いですし、手書きが面倒に感じるなら生理周期を記録できるアプリを使用するのも良い方法です。アプリであれば、生理開始日と生理終了日を記録すれば生理周期を自動で予測してくれるだけでなく、生理時の体調や経血量の記録も行えます。上手に活用して、体調の管理に役立てましょう。
妊娠のサインについては、こちらのページにより詳しい情報が記載されていますので、あわせて参考にしてみてください。
34日周期なら異常はないが、不安なときは病院へ相談を
正常な生理周期は25〜38日とされているため、34日周期であれば基本的には問題ありません。ですが、たとえば、経血量が極端に少ない、生理が2日以内に終わる、経血量が多い、生理周期が安定しないなどの不安もあるようであれば、一度婦人科で医師に相談するようにしましょう。
自分の生理周期をきちんと把握できていない場合は、まず1周期分の基礎体温を付けて変化を把握しましょう。続けて2周期、3周期と記録していけば、自分の生理周期を把握できるようになります。生理周期が28日の場合、生理後2週間は低温期になり、排卵後からおよそ2週間高温期が続きます。その後、再び体温が下がり始めたときが生理が訪れるサインです。
基礎体温を付けておけば、生理周期から排卵日や次回の生理予定日を予測しやすくなりますし、妊娠の判断も付きやすくなるため妊娠検査薬の使用タイミングもわかりやすいなど、たくさんのメリットがあります。
生理周期の異常は、自分のカラダの変化を知るための大きなヒントになります。常に自分の生理周期の把握を心がけて、健康で楽しい生活を送れるようにしていきましょう。
【記事監修医】
西山紘子先生
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会
東京都済生会中央病院/産婦人科医