専門家に聞く男性が知っておきたい不妊の話
不妊は男性が原因の場合もあるのでしょうか?
はい。世界保健機関(WHO)の調査によると、不妊症のうち48%は男性が関与しています。
男性側の原因は、大きく分けて2つです。
1つ目は「精子の数が少ない」「動いている精子の割合が少ない」「奇形の精子が多い」など、精子の状態によるもの。
2つ目は、勃起や射精ができないといった性機能障害によるものです。「今日は排卵日だから必ず射精しなきゃ、と思うと緊張してうまくいかない」、「マスターベーションならできるけど、セックスになると射精できない」など、さまざまなケースがありますね。
また、男性も年齢が上がるにつれて流産率が上がります。
なかなか妊娠しない理由が自分にあるかもしれない…と思った場合、男性側はどうすればいいのでしょうか?
まず精液検査を行います。射精してから2時間以内の精液を病院へ持ってくるか、病院内の採精室を利用していただきます。
その後、精液の量や精子の全体数、動いている精子の割合、奇形率などを、WHOの基準と照らし合わせて確認。
その結果を、「自然妊娠でも大丈夫」「人工授精が必要」「顕微授精でないと難しい」など3段階に分けて評価をします。
結果がイマイチだった場合は?
基本的には、今の精子の状態で今後どう対処していくかを考え、適切な不妊治療方法を提案していくことにます。体質改善のために漢方を飲む、ホルモン注射を打つといった選択肢もあります。
ただ、実は精液検査の結果は体調によってかなり左右されるんです。もしあまり良いコンディションじゃなかったと思う場合は、再検査してみてください。
とはいえ、精液検査の結果が悪かったとき、ちゃんと受け止められるのか…。正直、不安です。
たしかに、「もし精子が少なかったらどうしよう」「婦人科で精液を出すのが恥ずかしい」という男性の気持ちも理解できます。
でも、精液検査の結果によって、病院の対応はガラリと変わるとても大切な検査なので、ぜひ一方踏み出す勇気をもってもらえるとうれしいですね。
もし病院での検査に抵抗感があるなら、まずは自宅で精液検査ができるキットを試してみてはどうでしょうか?
今は、スマホや専用ルーペで精子の状態を確認できるものもあって、ネット通販やドラッグストアでも気軽に手に入ります。
ただ、検査の精度はそれほど高くない可能性があるので、あくまでも参考資料だと思ってくださいね。
不妊治療=産婦人科というイメージがあります。1人で病院に行って、精液検査だけをすることは可能なのでしょうか?
おっしゃるとおり、不妊治療は基本的には産婦人科で受けることになります。ただ、精液検査は泌尿器科でも受けることができるので、まずはお近くの泌尿器科に問い合わせてみてください。
まだ数は少ないのですが、なかには不妊治療専門の泌尿器科もあります。男性看護師が対応してくれる場合もありますよ。
不妊治療をする前に、夫婦で話し合っておいたほうがいいことはありますか?
- 子どもが何人欲しいか
- できればほしいのか、絶対ほしいのか
は、妊活のペースを決める重要なポイントです。ぜひ話し合っておきましょう。
こちらは、「子どもを○人産むには、女性が何歳から妊活を開始すべきか?」をまとめたデータです。
もし2人の子どもがどうしてもほしい場合は、自然妊娠なら27歳から、体外受精なら31歳には妊活を開始するべき、となっています。妊活を進めるペースの目安として、参考にしてみてくださいね。
最後に精子の質を上げるために、普段から気をつけるべき点を教えてください。
非常に大切なのは、禁欲期間を短くすることです。月に数回しか射精していない場合は、精子の質が悪くなりやすいというデータがあります。3日に1回くらい射精すれば、自然と精子のデータが良くなっていくはずです。
あとは、タバコとお酒の影響も大きいです。電子タバコも含めて精子に良い影響を与えませんし、お酒の飲み過ぎには注意してください。
また精子は熱に弱いため、妊活中は、サウナも極力避けたほうがいいでしょう。下着もトランクスにするなど、風通しを良くして睾丸を冷ます習慣を取り入れるのが好ましいですね。
習慣を変えるのは誰でも大変なものです。まずはできることから取り入れてみてくださいね。
【記事監修】
株式会社ファミワン 不妊症看護認定看護師 看護修士
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